大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和48年(オ)872号 判決

主文

理由

上告代理人小久保義昭の上告理由第一点一、三及び第二点について。

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができ、その認定判断の過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであつて、採用することができない。

同第一点二、三について。

記録によれば、原審が、上告人において本件各約束手形の振出人欄に記名捺印したとの事実を当事者間に争いのないものとして確定したことは、正当というべきである。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用するに足りない。

同第三点一について。

請負契約において、契約当事者が請負人の瑕疵担保責任の存続期間を二年に短縮する旨約した場合、この合意は有効であり(民法六三九条)、同法六三八条一項に違反するものとはいえない。所論は、これと異なる見解に立脚して原判決を非難するものであつて、採用することができない。

同第三点二について。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができる。所論は、原審の認定にそわない事実を前提に原判決の違法をいうものであつて、採用することができない。

同第三点三及び第四点について。

記録に徴し本件訴訟の経緯等に鑑みれば、原審が民訴法一三九条一項に基づき所論の主張を却下した処置は正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 下田武三 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例